2017/03/17

読めない読んだ読みたい本


















サザエさんの街から引越したと言ってもよくよく考えればここもまだ磯野家の領地だった。駅からの離れるとともにその辺境ぐあいも増してはいるが腐っても23区内、まだまだ都会だ、なんてことはいわせねえよ。え、なにこの芸風。とにかく周囲に畑が多いし、知らない鳥は飛んでいるし、多分イタチなんかもいるだろう。動体視力が衰え老眼も進むお年頃なのでイタチがいたところでそれはまあキツネと同じでルールルルー。別に狼狽えはしない。家にさえ入ってこなければイタチでもトリプルヘッドシャークでもお好きにどうぞの気持ち。とりあえず恐ろしいまでに静かな街で、夜はしっかり暗いので、それがよい。



結局、スティーブン・キング「セル」は20分ほど読んで止めてしまった。作品の良し悪しではなく単なる相性の問題だろうと思う。どうもゾンビ的ななにかには興味が引かれない。急に手持無沙汰になったので何度も読んでいるけれど山崎豊子「女系家族」下巻をところどころ読む。体感という意味では遺産相続の煩雑さや厄介さは少ししか知らないからこそ他人事として面白く感じるのだろうか、とにかく登場人物が金勘定に必死なのが良いし、具体的な数字が出てくるのも愉快だ。当時の金銭感覚で読めればもっと面白かろうに。それに船場もののたおやかな言葉遣いが好きだ。今は亡き祖母の鷹揚でいてどこか高飛車な物言いを思い出して頬が緩む。後に没落したとはいえ乳母日傘のお嬢様育ちの祖母の独特な距離感を思わせる優雅な口調にたいして、孫の私が話し方について評されるのは、その日本語の不自由さから「帰国子女?」や「人を人とも思わない」とか「心がこもってない」とかの、まあ悪口だよ。

スパイ小説の大家ジョン・ル・カレの新刊「A Legacy of Spies(原題)」で、“伝説のスパイ”ジョージ・スマイリーが26年ぶりの復活をとげることが明らかになった。英テレグラフ紙が報じている。(映画.com ニュース)

「裏切りのサーカス(Tinker, Tailor, Soldier, Spy)」でゲイリー・オールドマンが演じたスマイリーは渋すぎて、原作では詳しい浮気な妻に翻弄される夫という一面がちょっとかすんでいた。だってゲイリーを前に浮気できようかいやできまい。現実感なし。でも原作も映画もどちらも好き。邦題は嫌い。「スクールボーイ閣下(The Honourable Schoolboy)」も「スマイリーと仲間たち(Smiley's People)」も是非ゲイリー主演で映画化してほしい。

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