
土曜日は娘の運動会だった。娘は親の贔屓目で見ても運動神経はさほど良くないので、人並みに頃は図に走り間違わずに演技をしてくれるだけで充分で、落涙。そして幼稚園からのお付き合いで最早親戚の子どものような感覚になっている少年たちがリレーで大活躍だったため、落涙。隣にいた夫からは呆れ顔で「なんでも感動おばさん」と呼ばれる始末。
辛永清「安閑園の食卓」(2010、集英社)
台湾の古い街、台南の郊外にたたずむ広大な屋敷「安閑園」。緑豊かな庭園と季節の実りをもたらす果樹園や野菜畑。そして母たちが腕をふるう彩りあふれる日々の食卓の風景。1930年代の台湾で生まれ、この安閑園に育った著者が、子供時代の食の記憶を丹念に書き綴る。大家族のにぎわいと料理の音や匂いが鮮やかに立ちのぼり、人生の細部を愛することの歓びが心に響く。幻の名エッセイ、待望の復刊。
台湾有数の名家に育った著者と私とでは物質的豊かさは比べ物になりはしないのだけれど、女系家族がそれぞれの家族とともに生家の周囲に寄り集まって暮らしたので、幼少期の著者が安閑園で大人の間を泳ぐように過ごした大家族での生活は私にとってもどこか懐かしく、遠い日の幸せな思い出の記憶と温度を呼び起こす。数年ぶりに再び手に取ったのは、今年の夏に短い台湾旅行に出るからだ。台北にしか行かないので旅の参考にはならないのだけれど気分は上がる。甘やかされて育った子どもの時代に時を超えて出掛けるような気持ちだ。それに角煮も観たいし。まあ、手配を済ませてから夏の台湾なんて暑くて大変だと周囲から窘められ、今年の猛暑予想と相まって今から大陸の熱風に恐れ戦いているのだけれど。

0 件のコメント:
コメントを投稿